こんにちは! 観光と文学好きな翻訳スタッフNです。 今回は、「とりあえず寿司が食べたい」気持ちで小樽市に行ってきました。
北海道は観光業がさかんで旅好きにはうれしいエリア。私は道内出身者ではないのでどこを訪れてもいつも新鮮な発見があります。
札幌市から小樽市までは通常はバスで1時間くらいですが、今回は雪の影響で45分遅れての到着となりました。北海道の冬は余裕を持って過ごさないといけません。沖縄でいうところのなんくるナイサーは、北海道ではなんもなんも、と言うようです。雪にも負けず冬の寒さにも負けず、小樽の歴史感じるスポットに行ってきました。
寿司処『みよ福』
到着してすぐに訪れたのが、小樽の商店街の路地を入ったところにある寿司処『みよ福』 さんです。
外観からいい雰囲気。看板からは氷と雪解け水が落ちてくるので、足元だけでなく頭上も注意と、毎度スリリングな冬の北海道です。中に入ると、お座敷とカウンターがあったのですが空いていたカウンターに座りました。
予約客も多かったのですが、ぎりぎりお昼時に入れました。人気店では予約必須ですね。お寿司のメニューはシンプルで、特・上・生の3種類。回るお寿司でないお店に緊張して、真ん中の金額の「中」を注文。注文後に、マーケティングの松竹梅の法則にまんまと流されたと少し後悔していたのですが、登場したお寿司はこんな立派な高級感溢れる佇まい!
お寿司はネタが一つずる異なる10貫セット。回転寿司も自由にメニューを選べて楽しいですが、こうやって種類様々なお寿司を並べられると普段は食べないネタにチャレンジできていいですね。私はホッキ貝を食べたのが初めてだったのですが、柔らかくて貝自体の味も濃くてすごくおいしかったです。
大将、女将さん、常連のお客さんが楽しそうに話していて、地元らしい温かい空気感。常連のお客さんお二人は、旦那さんを家において女性二人旅だったそうで、夫に悪いからとお土産にお寿司を持ち帰り。和む雰囲気です。店内には、大将のご趣味か通行手形が壁中にびっしり。創業の歴史を感じる外観と店内の雰囲気にも満足できました。
海老のお寿司は特にあるのかしら。目の前のカウンターには新鮮そうな赤海老が並べられていたので、海老を眺めながらの寿司となりました。次は、「特ひとつ!」と声高に常連さんのような顔して注文したいです。
小樽文学館
個人的にとても思い出深く、楽しかったのが、小樽美術館・文学館 。
期間限定のネコ写真展ポスターに惹かれて中に入ったのですが、それとは別の常設展示である作家たちの紹介に釘付けになりました。小樽ゆかりの小説家、詩人、歌人、俳人たちの貴重な著書や資料が所狭しと展示してあります。
特に好きだったのが、小樽出身の文学者・伊藤整の、いい意味で乱れた書斎の展示。端正でミニマムが好まれることもありますが、こういう自分だけの場所と言うのは書斎ならでは。部屋はぐちゃぐちゃですが、基本的に几帳面だった伊藤は、茶封筒の裏表に内容を記載して大量に紙を蓄えていたようです。
現代のデータ時代に置き換えるとすべて必要なデータはフォルダに保存して、ファイル名を付けてタグ分けして、の作業と同じですね。おそらく彼は、本や紙の重みで床が抜けることもあったのではないかと想像してしまいます。
もし訪れる際、ぜひ見ていただきたいのが、著名人の性格や経歴をイラストと文章でまとめた高山美香さんの解説。著者たちに親近感の沸く、あまり知られていないエピソードがユニークな挿絵とともに描かれていて、おもわずくすりと笑ってしまいます。粘土作家でもいらっしゃるため、そっくりに作られた人形もかわいいです。
小樽は北のウォール町と呼ばれていたほど、以前は札幌市よりも金融で栄えていた場所であるため、今でも歴史的建造物として銀行が残されており、ほかにも美術館やスタンドグラス博物館など文化的施設も多くあります。
カフェ
ちょっと疲れて一休み。美術館へ行くと、展示を見て想いを馳せながら脳も心もたくさん使うので、いつもおなかが空きます。
訪れたのは、オットセイの看板が目に入った『SONIA COFFEE 』 。道内の焙煎所でコーヒーを炒っており、プレス式のコーヒーが飲めます。砂時計で時間をカウントして、タイミングが来たら急須でお茶をいれるようにコーヒーをマグカップに注ぎます。オフィスや自宅ではドリップコーヒーばかり飲んでいましたが、お店で出されたプレス式コーヒーは個人的にあっさりとして飲みやすい印象。北海道ミルクとチョコレート味のアイスも一緒に頂きました。
ホテルのラウンジは濃い色の木材を基調とされており、重厚な雰囲気でおしゃれ。イギリスの海賊船の模型があったり、蝦夷前寿司という江戸前とかけて上手いなあと思うネーミングのお寿司屋さんを併設されていたり、見ているだけでも楽しい施設がホテル内にありました。
ブランド物のニット帽を被った男の子が、施設内を歩いていたのでもしや高級ホテルなのでは……、と焦りましたが調べてみると、無理せずとも手の届く相場並みの金額でしたのでぜひ今度泊まってみたいです。
花園銀座
小樽の市街地から少し離れたところへ引き続きお散歩。北海道の歓楽街といえば、狸小路が有名ですが小樽にも市街地から少し離れた箇所に花園地区というエリア があります。
今はこのご時世ですので、閉まっているお店がほとんどでしたが、ぎっしりとスナックが立ち並んでいます。まるで映画のセットのような街並み。昭和レトロな雰囲気というのでしょうか、ディープな路地で、女優さんが歩くだけでも、絵になりそうな。『そこのみにて光り輝く』という映画に影響を受けていますが、池脇千鶴さんのような演技の幅が広い女優さんが似合いそうです。小樽駅からだと若干歩きますが、雪積街並みを見ながら散歩するのもなかなか粋なのではないでしょうか。
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夏にも一度訪れた小樽でしたが、はじめての冬の小樽。より落ち着いた印象で、ロケーションは同じでも違った景色を楽しむことができました。