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カテゴリー: コラム

史上最高峰の英語辞書を作った男たちの感動ストーリー『博士と狂人』

こんにちは。休日はいつも洋画気分の翻訳スタッフNです!
映画館も好きですが、配信サービスで映画が見放題なのが最高に嬉しいです。

今回観たのは、『博士と狂人』。原題はそのまま、”The Professor and the Madman” です。2019年のアメリカ合衆国の映画で、翻訳に携わる人間としては非常に興味深いオクスフォード英語辞典にまつわる、実話を基にしたヒューマンドラマ

この映画の主題となる、オクスフォード英語辞典(Oxford English Dictionary: OED)とは、1928年にイギリスのオックスフォード大学出版局より出版された英英辞書。言語としての意味だけでなく、英語の歴史的変遷までも扱った、世界で最も権威のある英語事典です。辞書で1つの単語を調べるだけでも大変な作業なのに、41万語以上の収録語数を誇る辞書を完成させようと言うんだから驚きです!

ネタバレはできませんが、単に編纂するだけの物語では終わりません。まさか、こんな誕生秘話があったなんて……と思わされる作品でした。

あらすじ紹介(ややネタバレかもしれません)

Youtubeより予告

英語の生き字引のような存在を演じる俳優陣

主演は、メル・ギブソンとショーン・ペンの二人。メル・ギブソンは、マッドマックス初期から考えると別人みたいに髭もじゃもじゃの渋いおじさまです(当たり前ですね……)。ショーン・ペンは、代表作はアイ・アム・サムでしょうか。今回も、同じように障害を持った難しい役柄を演じています。アカデミー賞受賞のベテラン俳優が、気の遠くなるような歴史と言葉を紡いでいく、生き字引のような存在を演じます。

貧困の中、独学で言語学界の第一人者となったマレー博士

壮大な編纂事業の中心にいたのは、貧困の中、独学で言語学界の第一人者となったマレー氏。博士号は当時持たず、独学で言語学者となった彼は、ほかに劣らない知性と語学力を持ち合わせ、オクスフォードの編纂者に選ばれます。すべての言葉を調べて定義する責任者という重責のある仕事を抱えて、大家族をつれてイギリスへ向かいました。

今までなかなか進まなかった編纂作業ですが、凝り固まってしまっていたアイデアを打破したのはマレーのユニークなアイデア。他の博士たちが行き詰まり身動きが取れなくなっていた中で、「英語を使う人たち全員に本と手紙を送り、編集室に返信してもらおう」と考えるのです。辞書に掲載する言葉をたくさんの人々が手伝い、少しずつですが完成を目指して順調に作業が進みはじめます。

言語のある人生に希望を見出すも、戦争の過去に苦しむマイナー氏

とはいえ、マレーたちが挑まなくてはいけなかったのは、途方に暮れるほどの言葉と文献の量。そんな中で、到底成し遂げられるとは思えない、400年分の英語の定義も引用もすべて用意して手紙を送ってきた人物がいました。それが、狂人と呼ばれるマイナー。戦争によるPTSDにより心を病み、ある事件を起こしてしまい人から忌み嫌われていた彼。辞書の編纂という作業に人生に希望を見出し、誰もできなかった偉業を成し遂げていくのです。

言葉の祝福を受けたマレー博士と、狂人と呼ばれたマイナー氏。この二人が歴史を作り上げていく壮大なストーリーは必見です。感じ方には個人差があると思いますが、刺激の強いシーンもありますのでその点はご注意ください。

2022年の国際ブッカー賞長編部門で日本人作家の川上未映子さんがノミネート!

こんにちは、読書好きの翻訳スタッフNです。
最近は、『暇と退屈の倫理学』を読み直しています。暇を退屈としない真のブルジョアに生まれたかったものです。
今回は、本にまつわる翻訳ニュースをお届けします!

英紙ガーディアンの記事に、国際ブッカー賞の長編作リスト13冊が掲載され、日本の小説家である川上未映子さんの『ヘヴン』がノミネート入りしています。

『ヘヴン』のあらすじ

かつて見たことのない世界が待ち受ける。

芸術選奨文部科学大臣新人賞・紫式部文学賞 ダブル受賞

<わたしたちは仲間です>――十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える<僕>は、差出人不明の手紙を受け取る。苛められる者同士が育んだ密やかで無垢な関係はしかし、奇妙に変容していく。葛藤の末に選んだ世界で、僕が見たものとは。善悪や強弱といった価値観の根源を問い、圧倒的な反響を得た著者の新境地。

講談社文庫公式サイトより

国際ブッカー賞(The Man Booker International Prize)はイギリスの文学賞。毎年受賞作品が選考されていて、外国語で書かれ、英語に翻訳され、英国で出版されたフィクション作品が選考対象となっています。ショートリスト6冊は来月4月7日に発表され、受賞作は5月26日に決まるとのこと。

ノミネートだけでも日本人としてとても誇り高いですね。

参照: International Booker prize announces longlist ‘tracing ring around the world’

翻訳スタッフのてくてく北海道観光・冬の小樽編

こんにちは! 観光と文学好きな翻訳スタッフNです。
今回は、「とりあえず寿司が食べたい」気持ちで小樽市に行ってきました。

北海道は観光業がさかんで旅好きにはうれしいエリア。私は道内出身者ではないのでどこを訪れてもいつも新鮮な発見があります。

札幌市から小樽市までは通常はバスで1時間くらいですが、今回は雪の影響で45分遅れての到着となりました。北海道の冬は余裕を持って過ごさないといけません。沖縄でいうところのなんくるナイサーは、北海道ではなんもなんも、と言うようです。雪にも負けず冬の寒さにも負けず、小樽の歴史感じるスポットに行ってきました。

寿司処『みよ福』

みよ福

到着してすぐに訪れたのが、小樽の商店街の路地を入ったところにある寿司処『みよ福』さんです。

外観からいい雰囲気。看板からは氷と雪解け水が落ちてくるので、足元だけでなく頭上も注意と、毎度スリリングな冬の北海道です。中に入ると、お座敷とカウンターがあったのですが空いていたカウンターに座りました。

予約客も多かったのですが、ぎりぎりお昼時に入れました。人気店では予約必須ですね。お寿司のメニューはシンプルで、特・上・生の3種類。回るお寿司でないお店に緊張して、真ん中の金額の「中」を注文。注文後に、マーケティングの松竹梅の法則にまんまと流されたと少し後悔していたのですが、登場したお寿司はこんな立派な高級感溢れる佇まい!

みよ福

お寿司はネタが一つずる異なる10貫セット。回転寿司も自由にメニューを選べて楽しいですが、こうやって種類様々なお寿司を並べられると普段は食べないネタにチャレンジできていいですね。私はホッキ貝を食べたのが初めてだったのですが、柔らかくて貝自体の味も濃くてすごくおいしかったです。

大将、女将さん、常連のお客さんが楽しそうに話していて、地元らしい温かい空気感。常連のお客さんお二人は、旦那さんを家において女性二人旅だったそうで、夫に悪いからとお土産にお寿司を持ち帰り。和む雰囲気です。店内には、大将のご趣味か通行手形が壁中にびっしり。創業の歴史を感じる外観と店内の雰囲気にも満足できました。

海老のお寿司は特にあるのかしら。目の前のカウンターには新鮮そうな赤海老が並べられていたので、海老を眺めながらの寿司となりました。次は、「特ひとつ!」と声高に常連さんのような顔して注文したいです。

小樽文学館

土肥美帆@みんなケンジを好きになる

個人的にとても思い出深く、楽しかったのが、小樽美術館・文学館

期間限定のネコ写真展ポスターに惹かれて中に入ったのですが、それとは別の常設展示である作家たちの紹介に釘付けになりました。小樽ゆかりの小説家、詩人、歌人、俳人たちの貴重な著書や資料が所狭しと展示してあります。

伊藤整机

特に好きだったのが、小樽出身の文学者・伊藤整の、いい意味で乱れた書斎の展示。端正でミニマムが好まれることもありますが、こういう自分だけの場所と言うのは書斎ならでは。部屋はぐちゃぐちゃですが、基本的に几帳面だった伊藤は、茶封筒の裏表に内容を記載して大量に紙を蓄えていたようです。

現代のデータ時代に置き換えるとすべて必要なデータはフォルダに保存して、ファイル名を付けてタグ分けして、の作業と同じですね。おそらく彼は、本や紙の重みで床が抜けることもあったのではないかと想像してしまいます。

伊藤整

もし訪れる際、ぜひ見ていただきたいのが、著名人の性格や経歴をイラストと文章でまとめた高山美香さんの解説。著者たちに親近感の沸く、あまり知られていないエピソードがユニークな挿絵とともに描かれていて、おもわずくすりと笑ってしまいます。粘土作家でもいらっしゃるため、そっくりに作られた人形もかわいいです。

小樽は北のウォール町と呼ばれていたほど、以前は札幌市よりも金融で栄えていた場所であるため、今でも歴史的建造物として銀行が残されており、ほかにも美術館やスタンドグラス博物館など文化的施設も多くあります。

カフェ

SONIA COFFEE

ちょっと疲れて一休み。美術館へ行くと、展示を見て想いを馳せながら脳も心もたくさん使うので、いつもおなかが空きます。

訪れたのは、オットセイの看板が目に入ったSONIA COFFEE。道内の焙煎所でコーヒーを炒っており、プレス式のコーヒーが飲めます。砂時計で時間をカウントして、タイミングが来たら急須でお茶をいれるようにコーヒーをマグカップに注ぎます。オフィスや自宅ではドリップコーヒーばかり飲んでいましたが、お店で出されたプレス式コーヒーは個人的にあっさりとして飲みやすい印象。北海道ミルクとチョコレート味のアイスも一緒に頂きました。

SONIA COFFEE

ホテルのラウンジは濃い色の木材を基調とされており、重厚な雰囲気でおしゃれ。イギリスの海賊船の模型があったり、蝦夷前寿司という江戸前とかけて上手いなあと思うネーミングのお寿司屋さんを併設されていたり、見ているだけでも楽しい施設がホテル内にありました。

ブランド物のニット帽を被った男の子が、施設内を歩いていたのでもしや高級ホテルなのでは……、と焦りましたが調べてみると、無理せずとも手の届く相場並みの金額でしたのでぜひ今度泊まってみたいです。

花園銀座

小樽の市街地から少し離れたところへ引き続きお散歩。北海道の歓楽街といえば、狸小路が有名ですが小樽にも市街地から少し離れた箇所に花園地区というエリアがあります。

今はこのご時世ですので、閉まっているお店がほとんどでしたが、ぎっしりとスナックが立ち並んでいます。まるで映画のセットのような街並み。昭和レトロな雰囲気というのでしょうか、ディープな路地で、女優さんが歩くだけでも、絵になりそうな。『そこのみにて光り輝く』という映画に影響を受けていますが、池脇千鶴さんのような演技の幅が広い女優さんが似合いそうです。小樽駅からだと若干歩きますが、雪積街並みを見ながら散歩するのもなかなか粋なのではないでしょうか。

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夏にも一度訪れた小樽でしたが、はじめての冬の小樽。より落ち着いた印象で、ロケーションは同じでも違った景色を楽しむことができました。

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